では、その「本質」とは何なのでしょうか? 私は次のように確信しています。
「似て非なる」 違いを敏感に感じ取り、限りなくそれに自身を最適化する気持ちとアイデアだと・・。
「荷物をトラックを使って運ぶ」 という一見単純な作業。 ただ、クロネコさんは以下のように解析されたのだと思います。
1. 1箇所もしくは少数の決まった場所から大量に一度に集荷して、 それを同じく1箇所もしくは少数の決まった場所へ届ける作業
2. あらゆる不特定多数の場所から少量・もしくは1個を集荷して、 それを同じくあらゆる不特定多数の場所へ少量もしくは 1個を届ける作業
当時、主流であった企業間を結ぶ運送業は前者であり、クロネコさんは後者に対して自身の組織形態を最適化することに、どの企業のそれよりも見事にやり遂げたのです。
最適化したことは実際数え切れないくらいの量だと思いますが、例えば集配スタッフにすれば、扱う荷物から企業間の大きく重い荷物が無くなり、小口のみに統一されただけでも随分効率が上がり、事故・破損も減ります。
その代わり、一定の担当エリアを時間のロス無く配達集荷できるように教育し、それをフォローする為のあらゆるシステム化が必要でしょう。
ヤマトさんのグループ内にシステム専門の会社があるのはそのためだと思われます。実を言うと、私の知っている限り運送業界では未だ珍しい例です。
会社全体の利益率が上がるのは目に見えています。
やっと、ここまでお話が出来ました。 ちゃんと話について来て頂いてますか?
次が一番大事です。
そのクロネコさんでも、引っ越しは引っ越しだけを専門に扱う部門を本体から切り離し、全く別の組織・作業員で行うようにしています。
つまりです、
引っ越しだって本来、同じ「荷物をトラックを使って運ぶ」 という一見単純な作業なのにも関わらず、最適化するにはそうせざるを得ないということです。
上の1. 2.の例の真似をすれば、
3. お客様の旧居からご家財をお預かりして、それをお客様の ご新居にお届けする作業
という感じでしょうか?
また、クロネコさんのライバルでもある運送業界最大手の運送業者の役員の方が、「引っ越しに関しては手も足も出ない・・」 と言われているのを直接聞いたことがあります。
結論はこうです。
「引っ越し」を扱うということは、トラックと作業員があるだけでは駄目だということです。その組織を引っ越しに最適化する必要があるということなのです。
また、そうしなければ簡単には商売として成り立たないということなのです。
お分かりいただけましたか?
次に「組織を引っ越しに最適化する」のお話をします。 |